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第9回:はじめての導入事例カタログやWebページの作成
導入事例を読むワザ・作るワザ
導入事例を読むワザ・作るワザ(第9回)

はじめての導入事例カタログやWebページの作成

前号に引き続き、導入事例のカタログやWebページに盛り込むべき情報は何かを紹介しよう。

(3) 時期 検討時期、導入のための準備期間、テスト期間、導入期間、本格稼働時期

見込み客の多くは、「導入するために、どれぐらいの手間や時間がかかるか」に興味を持っている。例えば、SaaS/ASPタイプの通信サービスなら、検討と導入にかかる日数が短い。低価格なら、お試し利用のために加入する手も打てる。一方で、企業の基幹業務に使うサーバや通信機器では、検討に日数がかかることが多い。購入前に実環境でテストする機材の貸し出しが必要になることも多い。

したがって事例で取り上げた顧客が、どれぐらいのスケジュールで導入したかという事実と関連付けて、見込み客が検討や導入の際に望む「サービス」をどれぐらい提供できるかを、さりげなくアピールするように書くとよい。

(4) 規模 設置台数や利用人数

「処理能力」を気にしない見込み客はいない。オフィス複合機(コピー/ファクス)からサーバ、通信サービスまで、カタログなどには業界標準の測定方法で処理能力を記載している。オフィス複合機なら「50枚/分」という書き方だ。これらは正確だが、見込み客の欲しい情報とはズレがある。

見込み客が知りたいのは、例えば「社員50人あたり、この機器を1台導入すれば足りるのか」という観点での処理能力だ。通信サービスなら、「100Mbps」という通信速度よりも、「社員がパソコン50台で日常業務を行う場合に、この回線サービスで実用的か」という点だ。ただし、顧客の利用状況によって最適な商品の選択は変わってくる。

この点を紹介するのが導入事例の役目である。ベンダーが「これぐらいあれば足りる」と言うと、「安全を見込んで多めに売り込んだ」という印象を見込み客に与えることがある。そこで、どのようなやり方で処理能力を計算したかを、事例として取り上げた企業の担当者から語ってもらう方が重みがある。

サーバや通信サービスでは、「我が社のピーク時に耐えられる処理能力があるか?」と、処理能力に不安を覚える見込み客も多い。このような企業がこのような環境で使っているという事実を示せば、利用者数に応じた能力とピーク時性能を実証したのに等しい。

(5) 導入 自己設置や代理店設置、設置のコスト、利用者教育

法人向け商品の多くが、導入の際に別途負担しなければならない付帯費用が発生する。設置調整費や工事費、利用者教育などいろいろだ。お金を払えば、多くは販売するベンダーが手配してくれるが、見込み客は予算を計上しておかないといけない。

見込み客の多くは、検索エンジンなどで機器の代金を概算している。しかし付帯費用がどれぐらいかかるかまでネットで調べるのは難しい。利用者の教育にどれぐらいの手間や費用がかかるのかを調べるのも難しい。これらの点についての見込み客の興味に応えるのが導入事例である。

顧客が自身で設置作業を行っても、ベンダー手配で行おうと、どちらを事例で紹介してもかまわない。たいていの場合には、細かい金額まで書く必要はない。むしろ、どのような付帯作業が必要になるかを明確にする方が、見込み客には参考になるので喜ばれる。
(続く)

著:須藤慎一(すどう・しんいち)
IT事業プランナー/ライター
技術系の商品や技術そのものを“解き明かす”仕事が中心。マーケターとして商品コンセプトを磨き販促ツールを取りそろえ、ライターとして文字で表現することが多い。

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