財務会計の報告書は、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、営業報告書)であり強制的に公開することが求められますが。管理会計の報告書は、企業全体や事業レイアーの管理資料であり、任意的に作成されるものです。
会計システムは、財務会計が主目的に構築されており、企業が扱う信憑書類や会計伝票をもとに日々仕訳記帳されて、経営活動の収益とコストを集計し、期間内の資産の変化(ストック)と資金の変化(フロー)を確実に掌握することを目的とします。もちろん、取引による収益の発生源やコストの発生源が会計システムと離れた場所で、異なった情報として取り扱われているため、会計システムに正しく反映するための工夫がなされてきたことは重要です。このような経営の屋台骨を支える経営情報が、財務リソース管理の業務レイアーで取引データ、付加価値データや原価データとして取り扱われ、これらの業務処理にコンピュータやネットワークが有効活用されて飛躍的に業務処理が改善されてきたのが20世紀の出来事といえます。多くの業務処理がIT化された歴史がそこに存在します。
特に財務に関する情報は、会計システムの原理(図2)で示すように、日々の活動が勘定科目ごとに原因と結果に基づいて仕訳記帳され、取引日の順に総勘定元帳に貨幣価値換算して記帳されています。したがって、全ての経営活動の貨幣価値換算値は総勘定元帳により参照可能になっています。しかし、これは、会計原則に基づいて集計され蓄積された会計システムのデータです。これだけでは経営管理情報や企業の永続性を予測する経営戦略情報とはなりません。

会計システムの総勘定元帳は、財務会計上で求められている貸借対照表や損益計算書を作成するためのデータベースとしての役割を持っています。経営レイアーが経営報告書を作成する上で必要となる経営分析用の情報とデータは、財務部門の業務プロセスの中で総勘定元帳に素データとして記帳され蓄積されます。これを基に外部に開示するIR(Investors Relations)のための開示情報がまとめられ、四半期、半期、期ごとの経営開示報告書として外部に公表されると同時に企業の公文書庫に保存されると考えられます。また、経営レイアーの役割である各種経営管理報告書類も、現実には財務リソースを管理するための業務処理プロセスであり、経営支援の業務レイアーの役割として作成されています。
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